小話そのいち。
「クーン・・・この格好は一体なんだ?」
「良く似てるだろ〜♪」
マク・アヌのショップが開かれる広場の一角で、重苦しい空気とハート爛漫な空気が同時に流れ込んできていた・・・。
その一角にいるハセヲは目の前にいるクーンに怒りをあらわにしていた。
「似てるだろ〜♪じゃ、ねぇえええええ!!!」
「良いじゃないかハセヲ。似合ってるんだし」
「そういう問題じゃねえええええ!!」
どんなに叫んでも、今のハセヲの姿にデレデレで萌え萌えなクーンに何を言っても無駄らしい・・・
それほどに今のハセヲの格好は凄いものなのだと、分かる。
「苦労したんだぞー、そのメイド服手に入れるの」
「手に入れなくて良いわ!!」
ベシッとクーンの頭を殴るハセヲにクーンは頭をさすりながらとんでも無い言葉を言った。
それは・・・
「んな事言うなってハセヲ・・・八咫とパイに失礼だろ?」
「あいつらもグルかあああああ!!」
ハセヲの叫びがまた、マク・アヌに響いた。
この叫び声はBBSで噂になったという・・・。
クーハセ/ハセヲメイド。
「八咫いるか?」
タルタルガの中でハセヲは珍しく私情で八咫の元へやってきた。
なにやら用事があるらしい・・・。
「私ならここにいるが・・・珍しいな。君が私に用事など」
「お前しか思い浮かばなかったんだよ」
ハセヲはそのままずかずかと八咫のそばに行く。
そしてあるプリントを出し、ある問題を指さした。
「この問題が解けねぇんだけど・・・教えてくれねぇか?」
「・・・・・・・・・・・構わないが」
こうしてタルタルガで勉強会が始まった。
極僅かな時間だが・・・
「ここは・・・でこうすると・・・ということになる」
「すると、ここをこうすればいいんだな」
「そうだ」
すらすらと問題を説明していく八咫の話しをハセヲは大人しく聞いて問題を解いていく。
とても分かりやすいのだろう・・・あっという間に問題を解いてしまった。
「その・・・ありがとう、な。問題手伝ってくれて」
「おやすいご用だ」
「じゃあな」
ハセヲはそういってせっせとログアウトしてしまった。
そんなハセヲを見送った八咫は・・・
「分からない問題があったらいつでも教えてやる」
と、一人つぶやいていた。
ヤタハセ/不器用な彼のとある日の出来事。
俺の宿主は女だ。
男に見えるけど、女だ。
女のクセに男のPCを使ってる変な宿主。
親友を助けようと必死になって、俺の力を求めた宿主。
なぜ、こんな奴を宿主に選んだのかは俺にも分からねぇ・・・
AIDAが俺たちを呼ぶように・・・俺たちが俺たちを呼ぶように・・・俺たちと宿主も呼び合うのかも知れねぇ。
話しは変わるが、俺はあのグラサンが嫌いだ。
アイツを・・・ハセヲを泣かした。
アイツは好きだが嫌いだ。
ハセヲを元気にさせたけど、取られた。しかも、アッチでも知っているらしい・・・。
ずるい。羨ましい。憎い。嫌だ。
「俺も物好きだな。気に入らなければ、さっさと喰い殺せば良いものを・・・」
今日も俺は、あの空間からハセヲを見ている。
ハセヲ←スケィス/物好きな俺。
ギュウウウウー
「・・・おい」
ギュウウウウウー
「おい!クーン!!」
「ん、なんだ?ハセヲ」
クーンは自らの腕の中にいる愛しの彼女に返事をする。
そんなクーンに彼女・・・ハセヲはピキとおでこに怒りマークを付けながらクーンに向かって叫ぶ。
「なんだじゃねぇ!!離れろ!!」
今にでもキルしそうなハセヲに対してクーンはしらっとした表情で「嫌だ」と言って、ハセヲを放さない。
それに加えて抱きしめている力がどんどん強くなっている。
そんなクーンにハセヲは抵抗するも、だんだんとあきらめが出ておとなしくなっていく。
「どうしたんだよクーン・・・いきなり抱きついてきて」
「不足してるんだよ、ふ・そ・く」
「不足?」
HPもMPも満タンじゃねーかと言おうとするが、その前にクーンがハセヲの耳元で言う
その言葉を聞いた瞬間ハセヲは真っ赤に成り馬鹿とと言い始めた。
「照れちゃって、かわいいなぁハセヲ」
「照れてねえ!!」
今日もマク・アヌは平和です。
クーハセ/君不足
「亮!!これをやるからこれを着てくれないか!!」と亮は遊びに来た智成に服が入った紙袋を渡された。
何だと思い、亮は紙袋を覗こうとするが着替えるときのお楽しみといわれ仕方なくあきらめる。
明らかに変なのだが本人自身、気になる為に拒否できないのだ。
「智成これで良いのか?」
好奇心に勝てなかった亮は別室で着替え、智成に見せる。
すると智成は眼を輝かさせて、亮を見つめ始めた。
「うんうん、いいね絶対領域」
「?・・・絶対領域?」
「知らないのか?絶対領域」
以外だと渋々思った智成は本能のままに亮を床へと押し倒した。
いきなり押し倒された亮は思い切り頭を床にぶつけ涙目にながら唸る。
「っー・・・何すんだよ!!」
「ん、良い眺め」
「良い眺めって・・・あ!!」
亮は自らの格好を見て頬を赤く染めた。
ミニスカートが軽くめくれて下着が見えるか見えないかの位置に来ている。
その上に先ほどぶつけた所為で涙目になっているのだ、盛らないわけがない。
「じゃ、いただきます。」
「いただきますじゃ・・・んっ!」
あの紙袋に入っていたのはミニスカートとサイハイソックス、その他諸々。
つまり智成は亮の絶対領域が見たかったのである。
かすみさき/絶対領域