半身への愛惜〜強制と再開
「皆さん無事でしたか!?」
「えぇ。師匠が助けてくれたお陰で」
師匠がライガクイーンを倒した後、俺たちはエンゲーブの人たちがひとまず避難しているセントビナーに来た。
セントビナーには神託の盾はいなかった。どうやら、ついさっき撤収したらしい・・・
「それで、あのライガは・・・」
「私がトドメを刺しました。もぅ村には襲ってこないでしょう」
「そうですか!ありがとうございます!なんとお礼を言って言いものか・・・」
「礼はいりませんよ。民を護るのが騎士の勤めですからな」
ヴァン師匠はそういうと俺とティアに後で宿に来るように言われた。
何を言われるのだろう?ライガクイーンについてか?
「ルーク!行くわよ!」
「ふぇ?今行く!!」
色々と考えていたら、話しが終わっていたらしい・・・ティアがいざ兄を襲いに行かんと言っているような感じで俺を呼んだ。
師匠・・・考え直してくれないのかな?
そうしたら・・・イオンもシンクも・・・みんな助かるのに・・・・
「そういえばルーク。あなたカツラは?」
「え?俺もしかして着けてねぇの?」
「えぇ・・・もしかしたらエンゲーブで落ちたのかも」
ティアはそういうとごそごそと道具袋をあさり始めた・・・
俺は不思議に思ってティアをじーっと見た。
「あったわ。予備を持ってきて正解だったわ」
「予備を持ってきてたのか・・・ありがとうティア」
「い、いいのよ。さ、早く着けてちょうだい!」
ティアは顔を真っ赤にしながら宿の扉を開けた。
そして俺はカツラをかぶりながらティアに着いていった・・・それを見られていた事にも気づかずに・・・
「来たか」
「師匠・・・」
「何の用なの?兄さん」
宿につき、ルーク達はヴァンが待つ部屋に向かった。
ヴァンは待ちくたびれた様子もなく、ただルーク達を待っていた・・
「ルーク。公爵殿からお前に手紙が来ている」
「父上から?」
「これがその手紙だ。私がカイツール軍港に来たときに受け取ったのだ」
ルークはヴァンから手紙を受け取ると、封を切り中の手紙を読み始めた・・・
「・・・・・・」
「ルーク?」
最初はへらへらとした態度で手紙を見ていたが、だんだんと真剣な顔つきになっていった・・・ティアはそんなルークを心配して声をかけた。
「・・・父上が大至急バチカルに帰ってこいって。叔父上から大事な話があるからって」
「陛下から?」
「うん・・・だからバチカルに帰らなきゃ」
ルークはそういうと俯いた。
インゴベルトから呼び出しをされたという事は、アクゼリュスに親善大使として行けという事。
つまり・・・預言のために犠牲になれという事なのだ。
まだアクゼリュスを救う術を見つけていなくて、しかも肝心のアッシュにさえ会っていないルークは不安になっていたのだ。
「バチカルに帰るのが怖いのか?ルーク」
ヴァンは今まで閉ざしていた口を開いた。
何を考えているのだろうか?
ルークは分からなかった。
「・・・怖いです。帰ったら・・・・・・・・・軟禁されるから」
「ルーク・・・」
ティアは同情した。
重度の記憶喪失で屋敷に軟禁されて偶然外に出れた。
外は怖いところもあるが、良いところはいっぱいある。
そんな所をルークは見つけた・・・そんな喜びを三年ずーっと屋敷で待てというのは地獄も同然だと考えたからだ。
「大丈夫だよティア。三年待てば、また外に出られるんだから」
そんなティアの視線と心情を察したルークはただ、それしか言えなかった。
「やっとバチカルにつきましたね」
「でもイオン様、ここからが本番ですよ」
「大丈夫ですよアニス」
ルークが手紙を貰う数日前、バチカルの港にイオン達がやってきた。
イオン達はあの後ルーク達を追ったのだが追いつけず、仕方なくタルタロスに戻って行ったのである。
「そろそろ行きましょうか?ガイ案内を頼みますよ」
「まかしときな旦那」
「それにしても・・・」
「・・・どうしたの?ガイ」
町を歩いている途中、ガイがふと足を止めた。アニスたちもそれに合わせて足を止める。
「ルークのやつ、一体何処で何をしているんだか・・・」
「ルークって?」
アニスは首をかしげてガイに聞いた。イオンとジェイドも誰?という表情をしている。
「・・・まだルークの事は言ってなかったな」
「だから、ルークって誰なの?・・・まさかガイの彼女!?」
「違うって!第一俺は女性恐怖症で触れることさえ出来ないんだぞ!」
ガイは焦ったように言った。
「・・・で?結局ルークって誰なの?」
「俺がファブレ公爵のところで世話になってるって言っただろ?ルークはその公爵の息子なんだよ」
「公爵!?・・・ふふふふ」
公爵と聞いたとたんアニスは不気味な笑い声を出したが、それを気にせずにガイは話しを続ける
「んでな、そのルークが超振動でとばされてね・・・俺とある人がマルクトに探しに行くことになったんだよ。マルクトに飛んだって言うのが分かったからね」
「ええ!?じゃあ今は・・・」
アニスがまるでバーゲンセールに行くご婦人のような表情をしながら焦った表情になっていくガイに問いつめた。
イオンはニコニコしながらそれを見守り、ジェイドはとても面白そうに見ている
「行方不明・・・なんだよ」
「ががーん!?アニスちゃんピンチ!?」
アニスは頭を抱え唸り始め、ガイは引きついた笑顔しか出すことが出来なかった
後書き
ひ・・・久々。
だんだん更新確立が低くなってきてしまった。
何とかしないと