半身への愛惜〜最悪な再開




「おや〜・・・民間人がこんなところになんの用ですか?」
「「!!」」


チーグルを見て過去を思い出していると突然、後ろから声をかけられた。
ルーク達はバッと後ろを向き構え、声をかけた人物を見た。
その人物はマルクトの軍服を着ている男性で眼鏡のズレをクイッと直していた。


「・・・誰ですか?」

『ジェイド・・・・』


ティアやチーグルは初めて聞く声だが、ルークはとても懐かしい声だ・・・
何処が本気で何処が冗談か分からないけど、いつもしっかりと周りを見通しているとても頼りになる男の声・・・


「失礼いたしました。私はジェイド・カーティス見てのとおり軍人です」


ジェイドは何かをたくらんでいそうな笑顔で言った。
ティアは警戒をしながらも構えを解く・・・しかし、ルークはティアと違い警戒をせずに直ぐに構え解いた


「・・・私はティア。ティア・グランツです」
「俺は・・・」


ルークはティアに続いて名前を言おうとするが、そこで一つの事に気がついた





『ルークと言ったらやばい事になるんじゃねぇ?イオンを連れ戻しに来たのなら、アニスがいっしょにいるはずだし・・・まずはこいつを森に帰したいし』





「どうかしましたか?」


色々と考えている間にジェイドが不思議に思ったらしい・・・心配そうに声をかけてきた。


「へ?な、何でもないよ。俺の名前は・・・ライ!ライ・ローレだ!」


ルークはきょとんとした表情になったが、すぐにその場で思いついた名前を言った。



『そういえば此処マルクトだったわ・・・仕方ないけど、センスが・・・・』



ティアは内心大きなため息をついた・・・ルークのセンスのなさに。


「ではライ。改めて質問させてもらいますが、どうしてこのチーグルの森に来たのですか?」
「こいつを群れに返しに来たんだよ。船の中に紛れこんでてさ」
「ミュウ!」


ライ・・・ルークはチーグルの耳を掴むとジェイドのつきだした。チーグルは現状がよく分かっているのかいないのか、元気よく片手をあげた。


「なるほど。ではティア、あなたは付き添い・・・ですか?」
「そうですカーティス大佐」
「ファミリーネームではなくジェイドと呼んでください。あまりファミリーネームにはなじみが無いですから・・・」



『あの時と同じ事言ってる・・・』



ティアとジェイドはライガクイーン・・・アリエッタの母親を倒したあとの会話をした。
やはり、ルークが過去に戻って来たからだろうか?
ルークは少しこの事が気になったがもぅ二度と会うことはないと思っていた仲間に再開出来たことに喜びを感じていてその事を考える事が出来なかった。


「大佐はなぜこの森に?わざわざ来るようなところには見えません」
「この森に一人で来た人がいるので、その人捜しに来たのですよ」



『イオン・・・』



ジェイドはイオンを探しに来たらしい・・・しかし、探しに来たとしたらアニスがいるはずなのだが・・・見あたらない


「その探している人というのは、まさか盗賊とかですか?」
「いいえ違いますよ。それよりも大きな人です。もうすぐ連れが連れてくると思いますが・・・」


ジェイドはチーグルが住んでいる方面を見だした。
すると、奥から二つの影が見えだした。


「大佐ー!イオン様を見つけましたよぉv」
「イオン?・・・まさか、導師イオン?」
「ご苦労様ですアニス。イオン様?」


ティアはイオンという名にすぐに反応して、思わずぽつりと言葉をこぼした。
そんなのを知ってか知らずか、ジェイドはアニスとイオンの三人で話し出した。
何を話しているのかルークは分からなかったがさっさと此処を離れた方が良いと直感で思った。


「ティア・・・」
「え?・・・・・・そうね、そうしましょう」


さっそく、ティアに早くここから離れようと耳打ちをした。
ティアも同じ考えを持っていたのか直ぐに頷いて、ジェイド達に近づいた。


「大佐。そろそろ私たちは行きますので」
「おや、もう行ってしまうのですか?」
「早くこの子を群れに返してあげたいので・・・」


ティアはいつの間にかルークから取り戻し、腕に抱いていたチーグルに視線を向けた。
それにつられて全員、チーグルに視線が向く


「そうですか」
「では、失礼します」
「またな!」


ルークとティアはそういうと森の奥に入っていった。
それを見とどけたジェイド達は・・・


「・・・謎ですねぇ」
「何がですか?大佐」
「彼女たちですよ。こんな田舎にわざわざチーグル一匹を返しに来るなんてあり得ないのですよ」


ジェイドは何かを考えているらしく、眼鏡のズレを直すような姿勢を取っている。
アニスとイオンはそういえばと顔を合わせていて、ジェイドのように気がつかなかった



『こんな時じゃなかったら彼女を・・・あの状況で直ぐに警戒を解いたライを調べるんですけどね。全く本当に残念だ』



ジェイドは本当に残念だと思っているらしく密かにため息をついた。


「・・・ジェイド。僕は彼女たちが心配です様子を見に行きませんか?
「イオン様!?そんな暇はないですよぉ!」


アニスは反対するが、イオンは行く気満々。
アニスはイオンを止めるように視線を送るが・・・


「そうですね、行きましょうか。いくらこの森の魔物が弱くても女性二人だと心配だ」
「まじですか!?もぅ・・・分かりましたよぉ。行きますよぉ」
「すみませんアニス」


イオンはそう謝ると、彼女たちを追いかけジェイド達も続く。
最初の出会いは違うがだんだんと過去と・・・未来と形が似てきているようだ・・・




後書き
 ぜ、前回後書きを書いて無い・・・も、申し訳ございますぬ!
 すっかり忘れてしました。