半身への愛惜〜帰還・・・そして
ルークとティアは協力し合い、救命ボートに閉じこめられている何かを助け出した。
ルークはその何かをみた瞬間すぐに海にでも投げ捨てようと思ったルークだが、かわいいモノが大好きなティアにその何かを取られてしまいそれは叶わなかった。
「かわいいv」
「ミュ?ミュウ!」
「・・・そうか?」
ティアはミュウミュウ鳴く何か・・・チーグルを抱きしめて、幸せそうにつぶやいた。
かわいいモノに目がないティアにとってチーグルはお気に入りの類に入るのだろう・・・暫く話すつもりはないように見える。
おそらくだが、ルークのつぶやきなど耳に入っていなく抱いているチーグルにしか見えていなく、自分の世界に入っているのだ。
ギュウウウ
「かわいい・・・vvvv」
「ミュウー・・・」
「おーい・・・ティア?」
ティアはチーグルを強く抱きしめた。
ティアは幸せそうだが、チーグルはかなり苦しいそうに見える・・・
ルークはそんなチーグルを見て、ティアに声をかけチーグルが失神しそうだと言うことを話した。
それを聞いたティアは急いで抱きしめていた力を緩め、必死にチーグルに謝った
「本当にゴメンね・・・」
「ミュウ!ミュウ!」
チーグルは気にするなと言うようにミュウミュウ鳴いた。
ボー・・・ボー・・・
いつの間にか船がバチカルに着いたらしく、汽笛が鳴り響いた・・・
「ここが、バチカルね」
「ミュウ!」
「・・・・」
船を下りて二度と見ることはないだろうと思っていた。
何せ俺は音素の乖離で消滅しようしていて、尚かつ母上達に忌み嫌われていた・・・必要とされていなかった。
「・・・・ク?ルーク!!」
「え?何!?」
「何じゃないわ。ぼーっとして通行の邪魔になってるわよ」
「ミュウ・・・」
いつの間にか歩くのを止めたらしく、かなり通行の邪魔になっていた。
俺は急いで歩き出して、ティアと見覚えが有りすぎるチーグル共に屋敷に向かった。
途中でティアが『初めて見たバチカル』という俺に同情したのか昼食をとったりした。
「る、ルーク様!?」
「ただいまぁ・・・父上達はいる?」
「た、ただいま呼んで参ります!!」
屋敷の前について、俺は屋敷の警備に当たっている騎士団に声をかけた。
いきなりの帰宅で驚いた騎士団員は驚きの声を上げつつ、急いで中に入っていった
「・・・ティア」
「何?」
「送ってくれてありがとう。短かったけど、いっしょに旅が出来て良かった」
「いいのよ。もともとは私があなたを巻き込んだのが悪かったのだし・・・当然のことよ」
俺がありがとうって言ったのが意外だったのかティアは頬を赤くめ、チーグルを抱きしめながら言った。
俺はそんなティアを薄ら笑いしつつ、騎士団員の報告を受けてすっ飛んできた父上と母上に笑いかけた。
「え!?ガイが俺を捜しにマルクトへ行ったあ!?」
「そうだ。あの後お前がマルクトに飛んだのは分かっていたからな・・・直ぐにお前を捜しに行かせた」
応接室で父上と母上が俺がタタル渓谷にとばされた後の事を話してくれた。
俺が『おんな』になったお陰で少し未来が変わったみたいでガイだけが俺を捜しに行ったらしい・・・じゃあ、ヴァン師匠は?
「では、兄は何処へ行ったのですか?」
「ヴァン謡将は導師捜索のために一度ダアトに帰国した・・・導師を探しつつ、ルークも探すという事だ」
「そうですか・・・」
ティアはそういうと何かを考え込むかのように、俯いてしまった・・・
俺はそんなティアを見て、どうして屋敷に忍び込んだのかを思い出した。
ティアは師匠を止めるために外殻大地にない「第七譜石」を捜索するという任務をモースから引き受けたという事を・・・
「あら?」
「どうかしましたか?母上」
「そこのかわいらしい生き物は何かと思ってね・・・」
『こいつか・・・』
俺は本当に見覚えが有りすぎるチーグルの事を話し出した。
・・母上は表情を笑顔で満たしながらも静かに耳を傾けていてくれた。
「そうだったの・・・チーグルさん大変だったわね」
「ミュウ、ミュウ!」
母上は俺の話を聞いた後、そういうと床に立っているチーグルに近寄って頭を撫でた・・・チーグルは気持ちよさそうに瞳を閉じて耳をパタパタさせる。
『そうだ!!』
俺はそんな母上とチーグルを見て、一つの事を思いついた。
それは・・・
「母上」
「どうしたの?ルーク」
「母上、このチーグルを森に返したいのですが・・・」
この見覚えが有りすぎるこのチーグルを森に返すという事だ。
後書き
マルクトに無理矢理にでも行かせてやろう計画始動!・・・なんちって
でも、本当にマルクトに行かないとこの先色々と大変な事にぃいいいい!!!