半身への愛惜〜待ちわびるあの日
セントビナーから出て約3日目、ルーク達はカイツール軍港に到着した。
「やーっとついた」
「本来なら約半日でつく・・・しかし、今回は嵐が来てしまったからな。仕方在るまい」
セントビナーからカイツールにつくまで一日かかる。ルーク達もそうだ。
カイツールに無事についたルーク達はキムラスカの領地に入り、そこで一晩を過ごし明日に備えた。
そして次の日、約半日をかけてカイツール軍港に到着・・・のはずだった。
『・・・・・・こんな嵐初めて見たわ』
『今日は此処にもぅ一泊だな』
そう、その次の日嵐が来たのだ。
降りしきる激しい雨にルーク達は一泊せざる得なくなり、仕方なくカイツールで一泊したのだ。
「ミュウ、また船に乗れてうれしいですの!わくわくしますの!」
「良かったわねミュウ」
ティアはミュウをしっかりと抱き、自らの世界に入りながら港の方へ向かっていった。
「「・・・・・・」」
二人は軽くため息をつくと、ティアを追いかけた。
その表情はあきれた表情ではなく、何か安心したような表情だった。
「グランツ謡将!」
船の方へ行くとキムラスカ兵がヴァンの方へ向かってきた。
「グランツ謡将、出航の準備が整ってありますのでお乗り下さい!」
「分かった。ご苦労」
「はっ!」
兵は一礼をすると持ち場へ戻って行った。
「・・・・・・どうしよう」
船内でヴァン達と別れたルークは一人与えられた部屋にいた。
本当なら甲板で海を眺めていたいルークなのだが、キムラスカ国王から呼び出しを喰らった今そんな事をしている暇はない。
因みにミュウはティアに抱かれたままである。
『このままだとアクゼリュスが滅ぶ・・・どうすればいい?』
ルークはボフッと音を立ててベットにダイビングし、そのまま枕に顔を埋める。
『師匠を倒すか?・・・・無理だ。過去に来てから俺の力はあの時のように出ない・・・超振動は分からないけど』
いろいろな考えを張り巡らせてルークはアクゼリュスを救う方法を見つけ出そうするが、中々良いものは見つからない。
『・・・アクゼリュスを救ったとしても、地殻の振動はどうやって止める?タルタロスを落とすことが出来る程の穴なんて在るわけない・・・』
そう、アクゼリュスを救ったら地殻停止作戦が実行出来なくなる。
タルタロスを落とすほどの穴がないのだ。
地殻停止作戦はアクゼリュスが崩壊したからこそできた作戦なのだから・・・
「・・・・・・住民を全員どっかに避難させてそれで・・・それで・・・・」
考えに考えた結論。
ルークが悩んで出した結果。
それは・・・今の仲間が少ないからこそ出来るものになった。
『・・・・・・ヴァン師匠と一緒に心中する。どんな手を使ってでも・・・ヴァン師匠と一緒に・・・死ぬ。そうすれば大爆発は起こらないし、レプリカ大地計画は止まる』
ルークはそう決意すると海を見るため甲板に出た
「・・・・・アッシュの顔を始めてちゃんと見たのはあの時・・・」
甲板に出たルークは何かに誘われるようにつぶやいた。
その目は虚ろで心は此処にあらずという感じだ。
ーイオンを返せぇええええ!
ー・・・っ!おまえか!!
海のど真ん中でルークは剣が合わさった音を聞く。
ルークが乗っているキャツベルトには剣を持っている人はいるが、手合わせをしている者達は何処にもいない。
「・・・その後顔が似すぎていたから、思わず吐いてガイが大騒ぎしてたっけ。」
思い出に浸っているのだ。
アッシュにいまだ会えないつらさと不安からルークの心が初めてあった時の事を思い出させているのだ。
「・・・どうして会えないんだろう?」
思い出に浸っている最中、ルークはふと思い出した。
どうしてアッシュに会えないのか?
本来なら此処に来た時点で二回顔は見えていないが会っているはずなのに・・・会っていない
「分からない・・・」
未来が変わっているからアッシュと会えないだと頭で理解しているルークだが、どうしても納得が出来ない。
単純な答えなのに、納得が出来ない。
心が受け付けない。
「会いたいよ・・・助けて・・・・」
アッシュと声にならない声でそうつぶやくと、ルークはまた聞こえるはずのない剣の音を聞き始めた。
後書き
た・・・大変だ。
この調子だとルークが死んでしまう。
どうしよう!?